IROHA 保存版ガイド・がん治療・免疫療法
「自家がんワクチン療法」とは?
仕組み・臨床試験の結果・費用・注意点を整理【保存版】
「手術で取ったがんを使って、自分専用のワクチンを作る」。自家がんワクチン療法は、そう紹介されるがんワクチン療法の一つです。小規模な比較試験で再発を減らした報告がある一方、別のがんの比較試験では全体として差が出ておらず、現在は国内で第3相の治験が行われている、研究段階の治療です[4][5][3]。日本では未承認で、自由診療として行われています[7]。
医師による監修前の記事です
この記事は、AIを用いてIROHA編集部が、下記の情報源をもとに作成しました。医師による内容の確認(医療監修)はまだ受けていません。本文中の[番号]から、それぞれの情報源を確認できます。治療を検討するときは、必ず主治医にご相談ください。
この記事の情報源(13件・2026年10月23日確認)- 公的機関 2件国立がん研究センター がん情報サービス、臨床研究等提出・公開システム(jRCT)
- 学会 1件日本臨床腫瘍学会
- 研究論文 3件PubMed
- 企業の公式情報 3件開発企業公式サイト(仕組み・承認状況の説明の確認のみ)、開発企業公式サイト(流れ・禁忌の確認のみ)、開発企業公式サイト(必要な組織量の確認のみ)提供状況・料金などの確認にだけ使っており、治療効果の根拠ではありません
- 医療機関の公式サイト 4件医療機関公式サイト(提供内容・注意事項の確認のみ)、医療機関公式サイト(料金の確認のみ)、医療機関公式サイト(提供内容・料金の確認のみ)提供状況・料金などの確認にだけ使っており、治療効果の根拠ではありません
- 手術で取り出した自分のがん組織(ホルマリン固定・パラフィン包埋したもの)からワクチンを作り、皮膚に注射するがんワクチン療法[8][4]
- 肝細胞がんの手術後の小規模な無作為化試験(41人)では、再発のリスクが下がったと報告された[4]
- 膠芽腫の偽薬対照の試験(63人)では、全体として生存期間に差はなかった。がんを取りきれた人で有望な傾向があり、第3相の治験が行われている[5][3]
- 国立がん研究センターは、自由診療のがんワクチン療法を「効果が証明されていない免疫療法」としている[1]
- 費用は医療機関の掲載例で1コース約171万〜194万円。自己免疫疾患がある人は受けられない[11][13][8]
自家がんワクチン療法を受けるために、手術後の抗がん剤治療・放射線治療などの標準治療や臨床試験を中断・延期することを支持する研究はありません[2]。検討する場合は、必ず主治医に伝え、いまの治療への影響を確認してください。
自家がんワクチン療法とは
自家がんワクチン療法は、手術で取り出した患者さん自身のがん組織を材料にしてワクチンを作り、皮膚に注射するがんワクチン療法です。がん組織には、その人のがんがもつ「目印(がん抗原)」が含まれているため、それを免疫に覚えさせ、体に残ったがん細胞を攻撃させることを狙います[7][4]。
病理検査のためにホルマリンで固定し、パラフィンに埋め込んで保存されているがん組織を使えるのが特徴で、手術から年数がたった組織でも使えると開発企業(セルメディシン株式会社)は説明しています[8]。細胞を体の外で培養する治療ではありません[7]。
位置づけ
| 項目 | 現在の状況 |
|---|---|
| 日本での承認 | 未承認医薬品。自由診療(自費)でのみ受けられると、開発企業が説明している[7] |
| 治験 | 膠芽腫(脳腫瘍)を対象に、医師主導の第3相治験(Cellm-001)が行われている。2025年4月時点で募集終了[3] |
| 公的機関の説明 | 国立がん研究センターは、自由診療で行われるがんワクチン療法を「効果が証明されていない免疫療法」で「医療として確立されたものではない」としている[1] |
| 学会の見解 | 日本臨床腫瘍学会は、効果や安全性が証明されていない免疫療法を受ける前に慎重に対応するよう呼びかけている[2] |
どのような仕組みなのか?
がんの目印は、同じ種類のがんでも人によって違います。自家がんワクチンは、自分のがん組織をまるごと材料に使うことで、その人のがんがもつさまざまな目印を免疫に覚えさせることを狙います[7]。
ワクチンは、固定したがん組織を加工し、免疫を刺激する成分(アジュバント)と合わせて作られ、皮膚の中(皮内)に注射します[4][5]。臨床試験では、ワクチンの前後に、がん組織への免疫反応を皮膚で確かめるテスト(遅延型過敏反応テスト)も行われました[4]。
どのような患者が対象となるのか?
- がん組織が手元にあること:ワクチンの材料として、腫瘍の組織が最低1.5g以上(できれば約2g)必要だと、開発企業は説明しています。手術を受けた病院に、保存されている組織の返却を依頼します[9]。手術を受けていない場合は、原則として作れません[8]。
- 研究されてきたがん:肝細胞がん(手術後の再発予防)、膠芽腫(脳腫瘍)など[4][5]。
- 受けられない人(禁忌):自己免疫疾患がすでにあると疑われる人は、免疫を強く刺激するため病気を悪化させるおそれがあり、投与しないとされています[8][10]。
- 臨床試験の結果から:膠芽腫の試験では、画像上がんを取りきれた人で有望な傾向がみられましたが、確かめるには第3相試験が必要とされています[5]。
どのような効果が確認されているのか?
| 研究 | 内容と結果 | 読むときの注意 |
|---|---|---|
| 肝細胞がん・手術後(中国、第2相の無作為化試験、41人) | ワクチンを受けた19人と受けなかった22人を比べ、追跡期間の中央値15か月で、再発のリスクが81%低下。再発までの期間・生存率も改善[4] | 人数が少なく追跡期間が短い。偽薬を使わない比較。著者は大規模な試験に進むべきとしている[4] |
| 膠芽腫・手術後(日本、第2b相の偽薬対照・二重盲検試験、63人) | 全体では生存期間(中央値25.6か月対31.5か月)にも、再発までの期間にも差がなかった。がんを取りきれた人では3年無再発生存率81%対46%(統計的に有意ではない)[5] | 主な結果は「差がなかった」。取りきれた人での傾向は一部の人を取り出した解析で、確かめるための第3相試験が必要[5] |
| 膠芽腫(日本、第3相の治験) | がんを取りきれた初発の膠芽腫112人を対象に、標準治療にワクチンまたは偽薬を加えて比べる計画[6][3] | 2026年10月時点で結果は公表されていない |
医療機関や開発企業のサイトには、効果があったとする症例が紹介されていますが、個別の症例は、ほかの治療の影響や自然な経過と区別できず、効果の証明にはなりません。
科学的根拠と研究状況
| 項目 | 現在の状況 |
|---|---|
| 診療ガイドライン | 自家がんワクチンを推奨する国内の診療ガイドラインは確認できなかった。学会は、効果・安全性が証明されていない免疫療法に慎重な対応を呼びかけている[2] |
| 国内の承認・保険 | 未承認・保険適用なし[7] |
| 海外の承認 | 確認できなかった |
| 臨床試験の段階 | 肝細胞がんで第2相の無作為化試験[4]、膠芽腫で第2b相の偽薬対照試験[5]。膠芽腫で第3相の治験を実施中(募集終了)[3] |
| 現時点で分からないこと | 第3相試験の結果、肝細胞がん・膠芽腫以外のがんでの効果、再発・転移したがんへの効果 |
膠芽腫の第3相試験は、国の臨床研究登録システム(jRCT)に登録された医師主導治験です[3]。結果が公表されれば、評価が大きく変わる可能性があります。IROHAでは、公表を確認したらこの記事を更新します。
治療の流れ
開発企業と提携医療機関の公式サイトで案内されている流れです[8][9][10]。
- がん組織の確保:手術を受けた病院に、保存されているがん組織(ホルマリン漬けの組織、またはパラフィン包埋ブロック)の返却を依頼する。ブロックは3〜4個以上が望ましいとされる[8][9]。
- 医療機関の受診:がん組織を持って提携医療機関を受診する。医療機関が主治医あてに組織提供の依頼状を書く場合もある[10]。
- ワクチンの製造:組織を持参してから1〜2週間ほどでできあがる[8]。
- 注射:1コースは、免疫反応テスト2回とワクチン3回の計5回の皮内注射。通常は2週間ごとに1回、全体で約6週間。外来で受けられる[8]。
- 経過観察:原則として1コースで終了し、その後は経過をみながら担当医と相談する[8]。
注意:ライトクリニック銀座とよろずクリニックは、主治医に組織提供の依頼状を発行した後に辞退する場合、ワクチン代の支払い前でもキャンセル料15万円がかかると案内しています[10][13]。
副作用・リスク・注意点
- 注射した場所の皮膚の反応:肝細胞がんの試験では、副作用は赤み、皮膚のはがれ、かゆみなどの軽い皮膚症状(グレード1〜2)に限られていました[4]。膠芽腫の試験でも、重い副作用はみられませんでした[5]。
- 自己免疫疾患の悪化:免疫を強く刺激するため、自己免疫疾患がある人では悪化させるおそれがあり、投与しないとされています[8]。
- 効果が得られない可能性:膠芽腫の比較試験では、全体として生存期間に差がありませんでした[5]。
- 標準治療を遅らせるリスク:学会は、未承認の免疫療法を受けることで、標準治療や臨床試験を受ける機会が失われることを大きな問題としています[2]。
- 経済的な負担:1コースで170万〜190万円台かかり、途中で辞退してもキャンセル料がかかる場合があります(治療費)。
治療費・保険適用
保険は使えず、全額自己負担です。提携医療機関の公式サイトに掲載された料金は次のとおりです。
| 医療機関 | 掲載されている費用 |
|---|---|
| ライトクリニック銀座 | ワクチン作成(1コース・通院6回)1,936,000円(税込)。投与対応費(1回13,200円)・検査費・初診料は別。2026年4月に価格改定[11] |
| よろずクリニック | 1,710,000円(税抜)[13]。別のページで「ワクチン作成・投与 約171万(税別)、追加費用はかかりません」と記載[12] |
主治医に組織提供の依頼状を発行した後に辞退する場合、キャンセル料15万円がかかると両医療機関は案内しています[10][13]。料金は2026年10月23日に各医療機関の公式サイトで確認した内容です。最新の料金・含まれる内容は各医療機関にご確認ください。
他の治療法との違い
| 治療 | がんの目印の材料 | 根拠の位置づけ |
|---|---|---|
| 自家がんワクチン療法 | 手術で取り出した自分のがん組織 | 小規模な比較試験で再発の減少(肝細胞がん)。膠芽腫では全体として差なし。第3相の治験中[4][5][3] |
| 樹状細胞療法 | 人工的なペプチドなどを、体外で育てた樹状細胞に覚えさせる | 日本の自由診療で行われるものは効果が証明されていない[1] |
| 免疫チェックポイント阻害薬 | (ワクチンではなく、免疫のブレーキを外す薬) | 承認されたがんで比較試験による効果あり。保険診療[1] |
開発企業は、自家がんワクチンは樹状細胞ワクチンとは違うものだと説明しています[7]。いずれも、保険で受けられる標準治療に置き換わる治療ではありません。
治療を検討する際の確認事項
主治医に相談したいこと
- 手術後の再発予防として、保険で受けられる治療(抗がん剤など)や、参加できる臨床試験はありますか?
- 保存されている私のがん組織を、返却してもらうことはできますか? どのくらいの量がありますか?
- いまの治療と並行して受けても問題ないですか?
提供医療機関に確認したいこと
- 私のがんの種類で、受けなかった人と比べた結果はありますか?
- 私の組織の量で、ワクチンを作れますか? 作れなかった場合の費用は?
- キャンセル料がかかるのは、どの時点からですか?
- 自己免疫疾患やアレルギーがある場合は受けられますか?
- 投与対応費・検査費・初診料を含めた総額はいくらですか?
- 何を基準に効果を判断しますか? 2コース目をすすめられることはありますか?
- 主治医と情報を共有してもらえますか?
エビデンスの現在地まとめ(2026年10月時点)
| 論点 | 現時点での評価 |
|---|---|
| 肝細胞がん(手術後) | 小規模な無作為化試験(41人)で再発の減少が報告[4] |
| 膠芽腫(脳腫瘍) | 偽薬対照の試験で全体として差なし。取りきれた人で有望な傾向[5] |
| 承認・治験 | 未承認。膠芽腫で第3相の治験中(結果未公表)[7][3] |
| 公的機関の説明 | 自由診療のがんワクチン療法は効果が証明されていない[1] |
| 安全性 | 試験では軽い皮膚の反応が中心。自己免疫疾患がある人は受けられない[4][8] |
| 費用 | 1コース約171万〜194万円(掲載例)。全額自己負担[11][13] |
よくある質問
自家がんワクチンで、再発は防げますか?
肝細胞がんの手術後の小規模な試験では再発が減ったと報告されていますが[4]、膠芽腫の比較試験では全体として差がありませんでした[5]。再発を防ぐ効果は、まだ確立していません。
手術を受けていなくても受けられますか?
ワクチンの材料に、手術で取り出したがん組織が必要です。開発企業は最低1.5g以上(できれば約2g)の腫瘍組織が必要としています[9]。
何年も前の手術の組織でも使えますか?
病理検査のために保存されたホルマリン漬けの組織やパラフィン包埋ブロックが使えると、開発企業は説明しています[8]。量が足りるかは医療機関に確認してください。
副作用はありますか?
臨床試験では、注射した場所の赤みやかゆみなど軽い皮膚の反応が中心で、重い副作用はみられませんでした[4][5]。自己免疫疾患がある人は、悪化させるおそれがあるため受けられません[8]。
治験に参加することはできますか?
膠芽腫の第3相治験は、2025年4月時点で募集を終了しています[3]。ほかの治験については、主治医や開発企業に確認してください。
樹状細胞ワクチンとの違いは?
自家がんワクチンは、自分のがん組織をそのまま材料にし、体外で細胞を培養しません[7]。樹状細胞ワクチンは、体外で育てた樹状細胞に、人工的ながんの目印などを覚えさせます。
IROHAからのメッセージ
手術を終えたあと、「再発しないために、できることはないか」と考えるのは、とても自然なことです。自家がんワクチン療法は、そうした思いに応えようとして研究されてきた治療の一つです。
そのうえでお伝えしたいのは、この治療は、いままさに大規模な試験で効果が確かめられている途中だということです。小さな試験で良い結果が出た一方、別のがんでは差が出ていません。
決める前に、まず主治医に、保険で受けられる再発予防の治療や臨床試験があるかを確認してください。そのうえで検討する場合は、この記事の「確認事項」を医療機関で一つずつ聞いてみてください。
参考文献・情報源
本文中の[番号]は、この一覧の出典に対応しています。出典は種類ごとにまとめています。医療機関の公式サイトは、提供状況・治療の流れ・料金の確認にだけ使い、治療効果の根拠としては使っていません。
公的機関(2件)
- [1] 免疫療法 もっと詳しく(国立がん研究センター がん情報サービス・2025年11月6日更新)
- [3] Cellm-001による初発膠芽腫治療効果無作為比較対照試験(jRCT2031200153)(臨床研究等提出・公開システム(jRCT)・2025年4月14日最終公表)
学会(1件)
- [2] がん免疫療法に関する注意喚起について(日本臨床腫瘍学会・2019年5月30日)
研究論文(3件)
- [4] Kuang M, et al. Phase II randomized trial of autologous formalin-fixed tumor vaccine for postsurgical recurrence of hepatocellular carcinoma. Clin Cancer Res. 2004;10(5):1574-9.(PubMed・2004)
- [5] Muragaki Y, et al. A multicenter, randomized, placebo-controlled phase IIb trial of an autologous formalin-fixed tumor vaccine for newly diagnosed glioblastomas. J Neurosurg. 2023;139(2):344-354.(PubMed・2023)
- [6] Muragaki Y, et al. A randomized, placebo-controlled phase III trial of an autologous, formalin-fixed tumor vaccine for newly diagnosed glioblastoma: trial protocol. Jpn J Clin Oncol. 2025;55(8):975-981.(PubMed・2025)
企業の公式情報(3件)
- [7] セルメディシン「自家がんワクチンとは」(開発企業公式サイト(仕組み・承認状況の説明の確認のみ))
- [8] セルメディシン「受診の流れ」(開発企業公式サイト(流れ・禁忌の確認のみ))
- [9] セルメディシン「がん組織の確保」(開発企業公式サイト(必要な組織量の確認のみ))
医療機関の公式サイト(4件)
- [10] ライトクリニック銀座「自家がんワクチン療法」(医療機関公式サイト(提供内容・注意事項の確認のみ))
- [11] ライトクリニック銀座 料金ページ(医療機関公式サイト(料金の確認のみ))
- [12] よろずクリニック「よろずクリニック式がん再発抑制治療」(医療機関公式サイト(料金の確認のみ))
- [13] よろずクリニック「自家がんワクチン療法」(医療機関公式サイト(提供内容・料金の確認のみ))
記事情報
- 初回公開日
- 2026年10月24日
- 最終更新日
- 2026年10月23日
- 医学的確認状況
- 医師による監修前(AIを用いてIROHA編集部が公的資料・論文などをもとに作成)
- 編集確認
- 未完了
- 参考情報の確認日
- 2026年10月23日
- 次回確認予定日
- 2027年4月23日
- 執筆
- IROHA編集部
治療法ごとの根拠の強さを、読者の方が見比べやすいように整理したIROHA独自の区分です。公的機関・学会による医学的な評価ではありません。AIと編集部が根拠を示して暫定評価を行い、医療監修で確定します。
- A:対象・条件を限定して臨床的有効性が確立
- B:人を対象とした比較研究などで有効性が示唆されるが、結論は限定的
- C:臨床研究は存在するが、有効性は未確立
- D:主に前臨床研究・理論段階
- E:信頼できる有効性の根拠が確認できない
- 未評価:資料不足により分類できない
相談できる医療機関
この治療法について相談できる医療機関の掲載は、現在確認中です。がんの治療について相談したいときは、主治医のほか、全国のがん診療連携拠点病院などにある「がん相談支援センター」を無料で利用できます(国立がん研究センター がん情報サービス)。


