特集:乳がんの再発 2/3
乳がん術後の経過観察はどう受ける?
検査の頻度と、腫瘍マーカー・CTの考え方
乳がんの治療が一段落すると、定期的な通院による「経過観察(フォローアップ)」が始まります。「もっと検査を受けたほうが安心なのでは?」と感じる方も多いかもしれません。ここでは、ガイドラインで勧められている経過観察の受け方と、その理由を整理します。
- 問診・視触診は、初期治療後3年間は3〜6カ月ごと、4〜5年目は6〜12カ月ごと、5年目以降は年1回が目安
- マンモグラフィは年1回が一般的
- 症状がないときに、腫瘍マーカーやCTなどを定期的に受けても、生存期間がのびることは示されていない
- 気になる症状があれば、予定を待たずに受診を
経過観察のスケジュールの目安
手術などの初期治療が終わったあとは、定期的に診察を受け、必要に応じて検査をします。問診(体調や症状の確認)と視触診(見て、さわって確かめる診察)の頻度は、次のように勧められています。
| 時期 | 問診・視触診の目安 |
|---|---|
| 初期治療後〜3年 | 3〜6カ月ごと |
| 4〜5年目 | 6〜12カ月ごと |
| 5年目以降 | 年1回 |
あわせて、年1回のマンモグラフィを受けるのが一般的です。乳房部分切除術(温存手術)を受けた方には、年1回程度のマンモグラフィが勧められています。実際のスケジュールは、病状や治療内容によって担当医と相談して決めます。
症状がないとき、腫瘍マーカーやCTは必要?
「血液検査の腫瘍マーカーやCTを定期的に受ければ、早く再発を見つけられて安心」と考える方は少なくありません。しかし、症状がなく経過が順調なときに、これらの検査を定期的に受けるメリットは少ないとされています。
その理由は、症状がない段階で検査によって再発を見つけて早く治療を始めた場合と、症状が出てから再発がわかって治療を始めた場合とを比べた研究で、生存期間に差がないことが複数報告されているためです。再発は、がん細胞が血液やリンパの流れに乗って全身に運ばれて出てきたものなので、早く見つけて早く治療を始めても、治療の効果が高くなるわけではないと考えられています。
腫瘍マーカーは、手術後の再発をチェックする目的にはあまり役に立たないとされ、マーカーの値だけで再発を判断することもできません。
定期的な診察で体の変化を確認し、症状があればすぐに必要な検査を行う——これが、ガイドラインで勧められている経過観察の考え方です。ご自身の状況によって検査が必要な場合もあるので、方針は担当医と話し合いましょう。
「いつもと違う」と感じたら
次回の受診日が先でも、気になる症状が続くときは病院に連絡しましょう。目安として、次のような症状があります。
- 同じ場所の骨の痛みが続く(腰、背中など)
- 咳や息切れが長引く
- おなかの張り、みぞおちの痛み
- 首やわきの下、手術した側の胸や皮膚のしこり・腫れ・赤み
- 頭痛やめまいが続く、手足に力が入りにくい
部位ごとの症状は、特集の1本目「乳がんの再発とは?」でも整理しています。
再発を防ぐために続けたいこと
術後の薬物療法を、自己判断でやめない
ホルモン受容体陽性の乳がんでは、手術後のホルモン療法(内分泌療法)が再発予防の大切な柱です。術後5年以上たっても再発するリスクがあることから、5年より長く(合計7〜10年)続けることが勧められる場合があります。副作用がつらいときは、自己判断で中止せず、担当医に相談しましょう。
毎日の生活で気をつけたいこと
- 禁煙する
- お酒はひかえる
- バランスのよい食事と、適度な運動を心がける
- 体調に合わせて、担当医に相談しながら過ごす
リンパ節の手術を受けた方は、腕や手のむくみ(リンパ浮腫)にも注意が必要です。いったん起きると治りにくいこともあるため、予防のための過ごし方を医療者に確認しておくと安心です。
よくある質問
乳がんの手術後は、どのくらいの頻度で通院しますか?
問診・視触診の目安は、初期治療後3年間は3〜6カ月ごと、4〜5年目は6〜12カ月ごと、5年目以降は年1回です。マンモグラフィは年1回が一般的です。実際の頻度は病状に合わせて担当医と決めます。
腫瘍マーカーやCTを定期的に受けたほうが安心ではないですか?
症状がなく経過が順調なときに定期的に受けても、生存期間がのびることは示されていません。腫瘍マーカーだけで再発を判断することもできません。気になる症状があるときに必要な検査を受けることが勧められています。
ホルモン療法はいつまで続けますか?
一般的には5年ですが、術後5年以上たっても再発するリスクがあることから、合計7〜10年続けることが勧められる場合があります。再発予防の利益と副作用のバランスで、担当医と相談して決めます。
出典:がん情報サービス「乳がん 療養」/日本乳癌学会「患者さんのための乳癌診療ガイドライン2019年版」Q39/同 Q32/日本乳癌学会「患者さんのための乳がん診療ガイドライン2023年版」Q40(情報確認日:2026年10月2日)