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乳がんの治療は「ステージ」と「がんの性質」で考えることを示したイメージ図

乳がんの治療はどう決まる? ステージと「がんの性質」で変わる選択肢

乳がんと診断されたとき、「手術で乳房を残せるのか」「抗がん剤は必要なのか」など、多くの疑問が浮かぶかもしれません。同じ乳がんでも、治療方法は一人ひとり異なります。治療方針を考える主な手がかりは、がんの広がりを示す「ステージ」と、がん細胞がどのような特徴をもつかという「がんの性質」です。

この記事は、国立がん研究センターが運営する「がん情報サービス」の乳がんに関する情報をもとに、治療が決まる流れを整理したものです。実際の治療は、検査結果に加え、体の状態や本人の希望も踏まえて担当医と相談して決めます。

まず確認するのは、がんの広がりと性質

乳がんのステージは0期からⅣ期まであり、乳房内での広がり、わきの下などのリンパ節への転移、骨や肺など離れた臓器への転移の有無などによって判断されます。数字だけを見て治療法が一つに決まるわけではありません。手術でがんを取りきれるか、薬物療法や放射線治療をどのように組み合わせるかを考えるための情報です。

もう一つの鍵が、病理検査で調べるがん細胞の特徴です。主に、女性ホルモンの作用を受けて増える性質があるかを示す「ホルモン受容体」と、がん細胞の増殖に関わる「HER2」の状態を確認します。細胞の増殖の程度をみるKi67なども、治療を検討する際の参考になります。国立がん研究センターのがん情報サービスでは、治療はステージや組織型、病理学的な特徴、サブタイプ分類に加え、本人の希望や生活環境などを総合して決めると説明されています。

ステージによって、治療の中心はどう変わる?

0期は、がんが乳管や小葉の中にとどまる段階です。広がりに応じて乳房の一部を切除する手術か、乳房全体を切除する手術を選びます。乳房を温存した場合は、通常、残った乳房への放射線治療を行います。がんの性質によっては、手術後にホルモン療法を検討することもあります。

Ⅰ期〜ⅢA期では、乳房部分切除術または乳房全切除術を中心に考えます。がんが小さければ乳房を温存できる場合があります。一方、がんが大きい場合でも、手術前に薬物療法を行って小さくなれば、温存手術が選択肢になることがあります。手術後に放射線治療や薬物療法を追加するかどうかは、がんの状態をみて判断します。

ⅢB期・ⅢC期やⅣ期では、薬物療法が主な治療になります。ⅢB期・ⅢC期では薬の効果に応じて手術や放射線治療を加える場合があります。Ⅳ期では、がんの進行を抑える治療とともに、転移によって生じた症状を和らげる治療も大切です。国立がん研究センターでは、遠隔転移した場所にがんが見つかっても、乳がん由来の細胞であれば乳がんとして治療することが説明されています。

薬の選択を左右する「サブタイプ」

乳がんの薬物療法には、ホルモン療法薬、分子標的薬、細胞障害性抗がん薬、免疫チェックポイント阻害薬などがあります。どの薬を使うかを考えるうえで重要なのが、がん細胞の性質による「サブタイプ分類」です。

ホルモン受容体陽性の乳がんは、女性ホルモンの働きを利用して増えるため、ホルモン療法薬の効果が期待できます。閉経前と閉経後では体内でホルモンが作られる仕組みが異なり、使う薬も変わります。ホルモン受容体陽性かつHER2陰性の場合には、抗がん剤を使うかどうかの判断材料として、複数の遺伝子を調べる「多遺伝子アッセイ」を行うこともあります。

HER2陽性の乳がんには、HER2を標的とする分子標的薬(抗HER2薬)が使われ、原則として細胞障害性抗がん薬と組み合わせます。ホルモン受容体とHER2の両方が陰性の乳がんは「トリプルネガティブ乳がん」と呼ばれ、細胞障害性抗がん薬による治療を行い、免疫チェックポイント阻害薬を使う場合もあります。サブタイプは薬を選ぶための重要な情報ですが、実際にはステージや再発のリスクなども合わせて判断します。

手術の前後にも、治療の選択がある

薬物療法には、手術前にがんを小さくする、手術後の再発の危険性を下げる、進行・再発した乳がんを抑えて症状を和らげるなど、異なる目的があります。「薬を使う」と聞いたら、何のための治療なのかを確認すると、提案された治療を理解しやすくなります。

乳房を温存する手術と全切除の選択も、切除する範囲だけでは決まりません。温存手術の後には通常、残した乳房に放射線を照射します。また、治療前にBRCA遺伝子の変異が分かっている場合は、手術の選択肢が変わることもあります。将来の妊娠を希望する方は、治療開始前に妊孕性(妊娠するための力)を保つ方法について相談することも大切です。

納得して治療を選ぶために

治療方針の説明では、「私のステージとサブタイプは何か」「提案された治療の目的は何か」「ほかに選べる方法はあるか」「生活や仕事への影響はどの程度か」を尋ねてみましょう。複数の治療法が提案される場合もあります。分からないことや迷いがあれば、担当医に確認し、がん相談支援センターにも相談できます。

乳がんの治療は、ステージだけでも、検査結果の一つだけでも決まりません。自分のがんの広がりと性質を知り、治療によって何を目指すのかを確かめることが、納得できる選択への第一歩です。

出典:国立がん研究センター「がん情報サービス」乳がん 治療、乳がん 検査。情報確認日:2026年9月28日。

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