膵臓がんと向き合って気づいた、時間の重さ

膵臓がんと診断されたのは、定年退職からちょうど3ヶ月が経った頃でした。「これからようやく自分の時間が持てる」と思い始めた矢先の出来事でした。

告知を受けた病院の帰り道、バスの中で外を眺めながら、頭の中は不思議と静かでした。怒りも涙も、すぐには出てこなかった。ただ、「自分に残されている時間は、どのくらいあるのだろう」という問いだけが、ゆっくりと広がっていきました。

医師からは、「治療の選択肢はいくつかあります。ただし、膵臓がんは進行が早い傾向があるため、早めに方針を決める必要があります」と言われました。

「『早めに決めてください』という言葉が、妙に現実的に響いた。それまで漠然としていた『残り時間』が、急に輪郭を持って見えてきた気がしました」

「治すこと」より「生きること」を考え始めた

最初のうちは、治療の情報ばかりを調べていました。手術の可否、抗がん剤の種類、臨床試験——。でも次第に、「どう治るか」より「どう生きるか」を考えるようになっていきました。

65年間生きてきて、「やりたかったこと」のうち、まだ手をつけていないことがどれだけあるか。孫と旅行に行きたい。妻と二人で昔住んでいた街をもう一度歩きたい。若い頃に書きかけた日記の続きを、ちゃんと書き終えたい。

それらは、どれも「治療が成功してから」でなければできないことではありませんでした。今でもできる。そう思ったとき、気持ちが少し、軽くなりました。

緩和ケアと治療の「両立」を選んだ理由

IROHAを知ったのは、娘が調べて教えてくれたのがきっかけでした。最初は「AIに相談するなんて」と思ったのですが、使ってみると、こちらが言いにくいことも、気持ちを傷つけずに整理してくれると感じました。

特に助かったのは、「緩和ケアは治療を諦めることではない」という説明でした。私は「緩和ケア」という言葉を「もう治療をやめる段階」だと思い込んでいましたが、それは違うと知りました。治療と並行して体の苦痛を軽減し、生活の質を高めるためのものだということ——それが腑に落ちたとき、「治療を続けながら、やりたいことを後回しにしない」という方向性が見えてきました。

緩和ケアについて知っておきたいこと

「諦める」ではなく「生き方を整える」ためのケア

  • 緩和ケアは、治療の「最後の手段」ではなく診断直後から活用できる
  • 痛みや不安・倦怠感など、体と心の両面をサポートする
  • 標準治療・自由診療と並行して取り入れることができる
  • QOL(生活の質)を維持することで、治療継続にも寄与するとされる

私が「今すること」を決めたリスト

治療方針が固まったあと、妻と二人でテーブルに向かい、「やりたいことリスト」を作りました。大げさなものではありません。でも、書き出してみると、どれも「なぜ今までやらなかったのか」と思うような、些細だけど大切なことばかりでした。

  • 孫たちと日帰りで海に行く
  • 妻と結婚した当時の街を歩いて、昼食を食べる
  • 書きかけの日記帳を棚から取り出し、続きを書く
  • 老いた友人に手紙を送る
  • 好きだった映画を、もう一度スクリーンで見る

どれも、治療の合間にできることです。実際にいくつかは、もう実現しました。

「がんになって初めて、時間の使い方を真剣に考えた。それは悲しいことでもあるけれど、今の私には必要なことだったと思っています」

「あなたらしく生きる」とはどういうことか

IROHAのサイトに「がんと共に、あなたらしく」というコピーがあります。最初は「きれいな言葉だな」と思っただけでしたが、今は少し違う感じがします。

「あなたらしく」というのは、治療の選択だけでなく、時間の使い方、人との関わり方、何を優先するかという、生き方全体の話なのだと思います。誰かに決めてもらうのではなく、自分が主体的に選んでいく。そのプロセス自体が、尊厳のある生き方ではないかと、65歳の今、そう感じています。

同じような状況の方がいたら、「何をするか」の前に「何をしたいか」を一度、紙に書き出してみてほしい。それだけで、少し見えてくるものがあるかもしれません。

「これからの過ごし方」を、一緒に考えませんか

治療の選択だけでなく、生活の質・緩和ケア・家族との関わり方など、
IROHAのAIナビが幅広い視点で整理をお手伝いします。

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※本記事は個人の体験談をもとにした掲載イメージです。治療効果を保証するものではありません。医療上の判断は必ず担当医にご相談ください。
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