- インタビュー対象:がん患者を支えた方
- 患者との関係:取引先の上司(家族がいなかったため、家族に代わって支援)
- 患者:74歳・男性
- 診断:食道がん(ステージⅢ)
- その後:リンパ節・肝臓へ転移
「家族がいなかったから、私が支えるしかなかった」
患者さんは74歳の男性でした。
仕事で長くお世話になった取引先の上司で、身近な家族がいなかったため、自然と私が病院への付き添いや治療の相談役を担うようになりました。
治療について調べること、病院へ付き添うこと、先生の説明を一緒に聞くこと。
「少しでも良い方向へ進んでほしい。」
その一心で支え続けました。
手術までは順調だった
最初に見つかったのは食道がんでした。
抗がん剤治療と超音波治療によって腫瘍は小さくなり、食事もできるようになり、本人も元気を取り戻していました。
「このまま手術をすれば治る。」
周囲も本人も、そう信じていました。
手術後、状況は一変した
しかし、手術中にリンパ節への転移が見つかりました。
さらに術後は体力が急激に低下。その後、肝臓への転移も判明し、歩くことも難しい状態になってしまいました。
「手術が終われば回復する。」
そう思っていた私たちは、まさかここまで急激に悪化するとは想像していませんでした。
「もっと他の病院でも診てもらおう」と何度も伝えた
私は何度も本人へ伝えました。
もっと広く情報を集めてほしいという想い
- 他の病院でも検査を受けよう
- セカンドオピニオンを受けよう
- 違う先生の意見も聞いてみよう
しかし患者さんは、
「先生を信じている。」
その気持ちが非常に強かったのです。昔気質の方だったこともあり、「一度お願いした先生に最後まで任せる」という考え方でした。
セカンドオピニオンは「勧められる」だけでは足りない
担当医からも
「セカンドオピニオンを受けてもいいですよ。」
という言葉はありました。しかし実際には、その先の具体的な方法や紹介、段取りまでは示されませんでした。
歩くことも難しい患者が、どうやって別の病院へ行けばいいのか。どう予約を取ればいいのか。誰に相談すればいいのか。その道筋が見えませんでした。
「受けてもいいですよ」だけでは、患者は動けない
具体的な紹介先・予約方法・相談窓口までを一緒に整理してくれる存在がいなければ、実際には動けない患者さんが多いことを痛感しました。
一番近くで見ている人の声も大切にしてほしい
私は毎日患者さんの様子を見ていました。
そばで支える人だからこそ見える変化
- 食事量
- 体力
- 表情
- 呼吸
- 少しずつ変わる体調
だからこそ、「このままで本当に大丈夫なのだろうか」という不安を強く感じていました。
もちろん医師を信頼することは大切です。しかし、一番近くで支えている家族や支援者だからこそ気付ける変化もあります。その声にも耳を傾けてほしいと思いました。
あの時、一番欲しかったもの
振り返って思うのは、私たちに必要だったのは「もう一つの選択肢を整理してくれる人」でした。
治療・病院・費用を横断的に比較する視点
- 治療方法
- 病院
- 検査
- 自由診療
- 保険診療
- セカンドオピニオン
それぞれのメリット・デメリットを、中立的な立場で整理してくれる存在がいれば、違う未来があったかもしれません。
この経験から伝えたいこと
がんになると、患者さん本人もご家族も冷静な判断が難しくなります。
だからこそ、一人の先生だけでなく、複数の情報を集めることは決して裏切りではありません。
納得した上で治療を選ぶためにも、遠慮せず情報を集め、相談し、比較することが大切だと思います。
IROHAから読者へのメッセージ
このインタビューで印象的だったのは、「もっと早く、他の選択肢を知っていれば」という後悔でした。
「もっと早く、他の選択肢を知っていれば。」
IROHAは、特定の治療を勧めるためのサイトではありません。患者さんやご家族が、自分たちに合った選択肢を知り、納得して治療を選べるよう支援することを目的としています。
一人で悩まず、まずは情報を集めることから始めてみてください。
この体験について、さらに深く知る
体験談から病状の理解、そして相談へ。3つのステップでつながります。