特集:乳がんの再発 3/3
乳がんが再発したら
局所再発と遠隔転移で変わる治療の目標と、心の整理
「再発しています」と告げられたときの衝撃は、最初にがんと診断されたとき以上に大きいことがあります。でも、再発にもさまざまな状態があり、治療の選択肢もあります。まずは、自分の再発がどのような状態なのか、そして治療で何を目指すのかを知ることから始めましょう。
- まず全身の検査で、再発の範囲(局所だけか、遠隔転移があるか)を確かめる
- 遠隔転移のない局所領域再発は、手術や放射線治療などで治癒を目指せる場合がある
- 遠隔転移では薬物療法が中心。ホルモン受容体・HER2などに合わせて薬を選び、進行を抑えて生活の質を保つことを目指す
- 「再発=死」と思い込まず、ひとりで抱え込まないことが大切
まず、再発の範囲を確かめる
再発が見つかったときは、まず全身の検査を行い、再発が手術した側の乳房や周りだけなのか(局所領域再発)、骨や肺などに転移があるのか(遠隔転移)を確かめます。どちらかによって、治療の進め方が大きく変わるためです。
局所領域再発の治療
遠隔転移がない局所領域再発では、治癒を目指して治療を行う場合があります。
- 手術:切除できる場合は、手術でがんを取り除きます。温存した乳房の中に再発した場合は、乳房全切除術が標準とされています。
- 放射線治療:最初の治療で放射線を受けていない場合は、手術後に放射線治療を行います。
- 薬物療法:切除が難しい場合は薬物療法を行い、切除できるようになれば手術を検討します。再発までの期間が短い場合などは、全身に広がっている可能性も考えて薬物療法を先に行うこともあります。
遠隔転移(遠隔再発)の治療
骨や肺、肝臓などに転移している場合は、薬物療法が治療の中心になります。治療の目標は、がんの進行を抑えること、そして症状が出ないように、あるいは症状を減らすことです。
使う薬は、がんの性質(サブタイプ)によって選びます。
| がんの性質 | 薬物療法の考え方(概要) |
|---|---|
| ホルモン受容体陽性 | まずホルモン療法薬で治療することが多い |
| HER2陽性 | HER2を標的とする抗HER2薬と、細胞障害性抗がん薬を組み合わせる |
実際には、これまでに受けた治療、転移の場所や広がり、症状、体の状態、本人の希望などをあわせて治療を選びます。がんの性質と治療の決まり方については「乳がんの治療はどう決まる?」もご覧ください。
症状を和らげることも、大切な治療
骨や脳への転移では、痛みやまひなどの症状を防いだり和らげたりするために、放射線治療が行われることがあります。痛みや息苦しさ、不安などのつらさを和らげる緩和ケアは、治療をあきらめた人のためのものではなく、がんの治療と並行して受けられるものです。つらい症状は我慢せずに伝えましょう。
気持ちの整理と、相談できる場所
再発がわかったときのショックや心の負担は、最初の診断のとき以上に強いことが多いとされています。悲しみや怒り、これからへの不安を感じるのは自然なことです。
- 「再発=死」と思い込まず、まずは自分の状態について正しい知識を得る
- わかりにくい説明は遠慮なく伝え、聞きたいことは数項目に絞って具体的に質問する
- 信頼できる人に気持ちを打ち明ける。家族に今の状態を伝えて、理解と協力を得る
- リラクセーションや音楽など、自分なりに気持ちを落ち着ける方法を取り入れる
- 不安を抱えながらも、目の前のことを普段どおり続ける
相談できる場所には、がん相談支援センター、患者会やピアサポート、心の専門家などがあります。転移・再発乳がんの方向けのサポートグループもあります。同じ経験をしている仲間がいることを、忘れないでください。
担当医に聞いておきたいこと
- 再発は局所だけですか?遠隔転移はありますか?
- 私のがんの性質(ホルモン受容体・HER2など)に合った治療はどれですか?
- この治療の目的は何ですか?(治癒を目指すのか、進行を抑えるのか)
- ほかに選べる治療はありますか?副作用や生活への影響はどの程度ですか?
- つらい症状を和らげるケアや、相談できる窓口はありますか?
よくある質問
乳がんが再発したら、もう治らないのですか?
遠隔転移がない局所領域再発では、手術や放射線治療などで治癒を目指せる場合があります。遠隔転移がある場合は、薬物療法でがんの進行を抑え、症状を和らげながら生活の質を保つことを目指します。状態によって目標が異なるので、担当医に確認しましょう。
遠隔転移した乳がんの治療はどう決まりますか?
ホルモン受容体陽性ならまずホルモン療法薬、HER2陽性なら抗HER2薬と細胞障害性抗がん薬の組み合わせなど、がんの性質に合わせて薬を選びます。これまでの治療や転移の場所、体の状態、本人の希望もあわせて決めます。
再発を告げられて気持ちが追いつきません。どうすればいいですか?
ショックや不安を感じるのは自然なことです。信頼できる人に気持ちを話す、がん相談支援センターや患者会、ピアサポートを利用するなど、ひとりで抱え込まないことが大切です。気持ちのつらさが続くときは、心の専門家に相談することもできます。
出典:がん情報サービス「乳がん 治療」/同 Q43/日本乳癌学会「患者さんのための乳がん診療ガイドライン2023年版」Q40/同 Q46(情報確認日:2026年10月2日)