がん治療を受けるとき、多くの患者さんが直面するのが「副作用」です。吐き気・脱毛・倦怠感など、治療そのものよりも副作用が辛いと感じる方も少なくありません。萬院長は、副作用の問題を「リンパ球(免疫)への影響」という視点で捉え、治療の進め方を考えることが重要だと言います。
本記事では、副作用と免疫の関係、そして副作用を最小限にしながら治療効果を高める考え方について解説します。
副作用が「リンパ球」を傷める問題
抗がん剤や放射線治療の副作用として、多くの患者さんが経験するのがリンパ球(白血球)の減少です。これは、がん細胞だけでなく正常な細胞やリンパ球まで傷んでしまうために起こります。
萬院長は、この問題を「警察と犯人」の比喩で説明します。
抗がん剤を長く使いすぎてリンパ球が疲弊している状態は、「犯人が100人いるのに警察が3人しかいない」ような状態です。この状態では、いくら免疫チェックポイント阻害薬(オプジーボなど)を使っても十分に戦えない。
つまり、副作用は「つらい症状」というだけでなく、治療の主役である免疫機能そのものを低下させるという問題を持っています。
がん免疫サイクルと副作用の関係
萬院長が重視する「がん免疫サイクル」の観点から、副作用の影響を整理します。
副作用がサイクルを止める仕組み
- 抗がん剤でリンパ球が減る → 免疫の「警察」が不足する
- がんが壊れても、樹状細胞が疲弊していると抗原提示が弱まる
- 全身の免疫機能が低下 → 他の転移巣への対応力も落ちる
- 感染症リスクが上がり、治療継続が難しくなる
萬院長は、「標準治療をやりすぎることにも警鐘を鳴らしています。抗がん剤を最後まで強く使いすぎることで、がんそのものではなく感染症や肺炎などで亡くなる患者がいる可能性がある」と指摘しています。治療は「正しく使えば武器、使い方を間違えれば患者を傷める」ものになり得るのです。
理想の副作用管理:「がんだけを壊す」
萬院長が考える理想は、正常細胞やリンパ球を傷めずに、がんだけを壊すことです。この観点から注目されているのが光免疫療法(ケミカルサージェリー)です。
光免疫療法では、がんに集まりやすい薬剤を点滴し、そこに特定の光(近赤外線など)を当てることでがん細胞を壊します。萬院長がこの治療に注目する理由は次の通りです。
- がんだけを壊し、免疫を下げにくい
- 壊れたがんから抗原が出て、免疫に「指名手配」できる
- リンパ球が元気な状態を維持しやすい
- 再発・転移を抑える可能性がある
もちろん、すべての患者さんに適用できるわけではありません。ただ、「副作用の少ない治療と、免疫を活性化させる治療を組み合わせる」という発想は、統合腫瘍治療の重要な柱です。
副作用を早めに準備するために
副作用への対処は、「起きてから何とかする」ではなく、「起きる前に準備する」ことが重要です。
治療前に担当医と話し合っておきたいこと
- どのような副作用が起きやすいか(種類・頻度・程度)
- 副作用が出た場合の連絡先・対処法
- 免疫低下時の感染予防(手洗い・食事・人混みの回避など)
- 副作用を和らげる補助療法の選択肢(漢方・栄養管理・リハビリなど)
- 副作用が強い場合の治療強度調整の判断基準
萬院長は、患者さんへの説明において「副作用が怖い」という感情を否定しません。「怖いと感じることは正常です。でも、準備があれば怖さを乗り越えやすくなる」という姿勢で患者さんに向き合っています。