抗がん剤などの治療を受けていると、吐き気やだるさ、口内炎、手足のしびれなど、さまざまな副作用が気になるかもしれません。「治療のためだから、がまんするしかない」と思っていませんか。

副作用やつらい症状を和らげるための予防・治療・ケアは「支持療法」と呼ばれ、がん治療の大切な一部です。この記事では、国立がん研究センター「がん情報サービス」の情報をもとに、支持療法の基本と、副作用との向き合い方を整理します。

支持療法とは

支持療法とは、がんの治療に伴う副作用や合併症、後遺症などの症状を軽くし、生活の質(QOL)を保つ・高めるための予防、治療、ケアのことです。たとえば次のようなものがあります。

  • 吐き気・嘔吐、しびれ、だるさ、便秘などを抑える薬を使う
  • 貧血や血小板の減少に対して輸血を行う
  • 感染症を防ぐために抗菌薬を使う

副作用を上手に抑えることは、体の負担を減らすだけでなく、予定どおりに治療を続けることにもつながります。

副作用は「いつ」「どんなもの」が出やすい?

副作用の種類や出る時期は、使う薬によって異なります。細胞障害性抗がん薬(いわゆる抗がん剤)では、おおよそ次のような目安が示されています。

細胞障害性抗がん薬の副作用の目安

時期によって出やすい症状が変わります

  • 治療直後:アレルギー反応
  • 1〜2週目:吐き気、食欲低下、だるさ、口内炎、下痢
  • 2週目以降:脱毛、手足のしびれ、皮膚の色素沈着や乾燥
  • 検査でわかるもの:肝機能・腎機能の異常、白血球や血小板の減少、貧血

このほか、薬の種類ごとに特徴があります。

  • 分子標的薬:皮膚障害、高血圧、間質性肺炎、タンパク尿など。点滴の抗体薬では、投与開始から24時間以内に悪寒・発熱・発疹・息苦しさなどが出る「インフュージョンリアクション」が起こることがあります。
  • 内分泌療法薬(ホルモン療法薬):ほてり(ホットフラッシュ)、関節や骨・筋肉の症状など。
  • 免疫チェックポイント阻害薬:自己免疫の病気や炎症に似た症状が出ることがあり、時期や症状を予測しにくいのが特徴です。

あらかじめ「自分の治療では、いつ頃どんな副作用が出やすいか」を担当医や薬剤師に聞いておくと、症状が出たときに落ち着いて対応しやすくなります。

主な症状と、標準的な対処

吐き気・嘔吐

吐き気止め(制吐薬)の進歩により、吐き気・嘔吐はコントロールしやすくなってきました。症状が出てからではなく、治療に合わせて予防的に使うのが基本です。

  • 消化のよいものを、少しずつ何回かに分けて食べる
  • ゼリーやアイスなど、冷たく飲み込みやすいものを選ぶ
  • 強いにおいを避け、部屋の空気を入れ替える
  • うがいや口のケアで口の中をさっぱりさせる

吐き気止めを使っても続く場合や、水分がとれないほど強い場合は、早めに医療者に相談してください。

骨髄抑制(白血球・赤血球・血小板の減少)

治療の影響で骨髄の働きが低下し、血液の細胞が十分につくれなくなる状態です。白血球が減ると感染症にかかりやすくなり、赤血球が減ると貧血に、血小板が減ると出血しやすくなります。自覚症状が少ないことも多く、定期的な血液検査で確認します。必要に応じて、感染を防ぐ薬や輸血などで対応します。

口内炎

口の中を清潔に保ち、乾燥を防ぐ口腔ケアが基本です。治療前に歯科を受診して口の中を整えておくことが勧められる場合もあります。

皮膚・爪のトラブル

乾燥や色素沈着、分子標的薬による皮膚障害などには、保湿などのスキンケアや、症状に応じた専門的なケアで対応します。外見の変化へのケア(アピアランスケア)について相談できる医療機関もあります。

下痢・便秘

症状を和らげる薬を使って調整します。下痢が続くときや、3日以上便が出ずおなかが痛いときは、医療者に連絡しましょう。

自分でできること

  • 規則正しい生活を送る
  • 禁煙し、お酒はひかえる
  • バランスのよい食事と、無理のない範囲の運動
  • 飲み薬は決められたスケジュールどおりに飲む
  • 体調の変化をメモしておき、診察のときに伝える

「こんなことで連絡していいのかな」と迷う必要はありません。副作用は、早めに伝えるほど対処しやすくなります。

すぐに医療者へ連絡したい症状

がまんせず、すぐに連絡を

次のような症状があるときは、病院に連絡しましょう

  • 38度以上の発熱が続く
  • 口の中からの出血や、止まらない出血がある
  • 食べ物や水分がとれない
  • 急に息苦しくなった
  • 3日以上便が出ない・おなかが痛い、または下痢が続く
  • 1日以上尿が出ない
  • そのほか、治療前と明らかに違う症状がある

夜間や休日の連絡先も、治療が始まる前に確認しておくと安心です。

漢方などを取り入れた副作用ケアについて

標準的な支持療法に加えて、漢方を取り入れた副作用ケアを行っている医師もいます。IROHAでは、井出弓子先生へのインタビューで、その考え方を紹介しています。取り入れたい場合は、治療中の薬との飲み合わせなどもあるため、必ず担当医に相談してください。

抗がん剤治療の副作用に、漢方でできること|井出弓子先生インタビュー →

副作用の不安を整理しませんか?

AIナビゲーションが、気になる症状や担当医に聞きたいことの整理をお手伝いします。

AIナビを無料で試す

出典:国立がん研究センター「がん情報サービス」薬物療法 もっと詳しく/吐き気・嘔吐/用語集「支持療法」/用語集「骨髄抑制」。情報確認日:2026年9月30日

本記事は一般的な情報提供を目的としたもので、個別の診断・治療を代替するものではありません。症状や治療については、必ず担当医・医療スタッフにご相談ください。