腹膜播種があると、おなかの中に液体(腹水)がたまり、おなかの張りや食事のとりにくさなど、毎日の生活に関わるつらさが出ることがあります。この記事では、腹水によるつらさと、その和らげ方を整理します。
腹水とは
腹水とは、胃や腸などが収まっている空間(腹腔)にたまった液体のことです。ふだんから少量はありますが、がんや炎症などによって多くたまると、おなかの張りやふくらみなどの症状が出てきます。
どんなつらさが出る?
- おなかが張る、苦しい、痛む
- 少し食べただけでおなかがいっぱいになる、食欲が落ちる
- 吐き気や嘔吐(胃や腸の通り道が狭くなることで起こる場合もあります)
- 体を動かしにくい、横になっても楽にならない
症状だけで原因を判断することはできません。新しく出た症状や、悪化した症状は、治療チームに伝えましょう。
つらさを和らげる方法
腹水やそれに伴う症状には、状態に応じてさまざまな対処があります。
- おなかにたまった水を抜く処置:おなかの張りや苦しさを和らげるために行われることがあります。
- 食べ物の通り道を確保する治療:胃の出口がふさがって食事がとれない場合、別の通り道をつくるバイパス術や、ステントと呼ばれる筒状の器具を入れる治療が勧められることもあります。
- 症状を和らげる薬:痛みや吐き気は、薬で和らげることができます。吐き気止めは、症状に合わせて予防的に使うこともあります。
どの方法が合うかは、体の状態や治療の状況によって異なります。「つらい」と感じたら、我慢せずに担当医や看護師に伝えてください。
緩和ケアは、治療と一緒に受けられます
痛みや吐き気、おなかの張り、食事の悩み、不安などを和らげる緩和ケアは、治療ができなくなってから受けるものではありません。がんと診断されたときから、治療と並行して、つらさを感じるときにはいつでも受けることができます。医師、看護師、薬剤師、心理士などがチームで支えてくれます。
毎日の生活でできる工夫
- 一度にたくさん食べず、少量を何回かに分けて食べる
- 消化のよいもの、口当たりのよいものを選ぶ
- おなかを締めつけない、ゆったりした服を選ぶ
- 楽な姿勢を見つけて休む
- 体重やおなかまわり、食べられた量などをメモして、診察で伝える
すぐに医療機関へ連絡を
次のようなときは、次の予約日を待たずに相談してください
- おなかの張りが急に強くなった
- 強い腹痛、または急に悪化する腹痛がある
- 嘔吐を繰り返す、水分を十分にとれない
- 息苦しさなど、急に体の状態が悪くなった
家族ができること
食事の量や体調の変化をいっしょに記録したり、診察に同席して気になることを伝えたりすることは、大きな支えになります。一方で、家族も心と体に負担を抱えやすいものです。緩和ケアやがん相談支援センターは、家族からの相談も受け付けています。一人で抱え込まずに頼ってください。
出典(情報確認日:2026年9月30日)
- 国立がん研究センター「がん情報サービス」用語集「腹水」
- 国立がん研究センター「がん情報サービス」胃がん
- 国立がん研究センター「がん情報サービス」卵巣がん・卵管がん・腹膜がん 治療
- 国立がん研究センター「がん情報サービス」吐き気・嘔吐
- 国立がん研究センター「がん情報サービス」緩和ケア
本記事は一般的な情報提供を目的としたもので、個別の診断・治療を代替するものではありません。症状や治療については、必ず担当医・医療スタッフにご相談ください。症状が急に悪化したときは、次の予約日を待たずに治療を受けている医療機関へ連絡してください。