がんと告げられたあと、心も暮らしも大きく揺れ動きます。「仕事はどうしよう」「家族にどう伝えよう」「お金は大丈夫だろうか」——治療のこと以外にも、考えることがたくさん押し寄せてきます。この記事では、告知のあとに心と暮らしを整えるためのヒントを、国立がん研究センター「がん情報サービス」の情報をもとにまとめました。
告知のあとの心の動き
がんと診断されたあと、心は次のような経過をたどることが多いとされています。
- 衝撃と否認:「自分ががんのはずがない」と、認めたくない気持ちが強くなります。大きな衝撃から心を守ろうとする、自然な反応です。
- 不安と落ち込み:強い不安や落ち込みが数日から数週間続き、眠れない、食欲がないといった状態になりやすくなります。
- 適応:多くの場合、2週間ほどで少しずつ現実に向き合えるようになり、治療に目を向けられるようになっていきます。
「なぜ自分だけ」という怒りや、「生活習慣のせいだ」という自分を責める気持ち、まわりから取り残されたような孤独感を抱くこともあります。どれも、多くの人が経験する気持ちです。
専門家に相談したい目安
こんなときは、ひとりで抱えずに相談を
- 落ち込みが2週間以上続き、眠れない・食べられない状態が目立つ
- つらい気持ちが強く、日常生活に支障が続いている
担当医や看護師に伝えると、精神科医や心理士など、心の専門家につないでもらえることがあります。
仕事:大切な決断は、急いでひとりで決めない
がんと診断されると、「もう仕事は続けられない」と退職を考えてしまう方もいます。でも、治療をしながら仕事を続ける人も増えています。
- まず、今後の治療スケジュールと、仕事を続けられるかの見通しを担当医に確認しましょう。
- 職場の就業規則や、休暇・休職などの制度を確認しましょう。人事や総務の担当者に問い合わせることもできます。
- 職場への伝え方に迷ったら、がん相談支援センターで相談できます。
仕事は収入だけでなく、社会とのつながりでもあります。大切な決断は急がず、ひとりで決めないことが大切です。
お金:使える制度を知っておく
- 高額療養費制度:医療費の自己負担が高額になったときに、負担を軽くできる場合があります。
- 自己負担の上限額や、食事代・差額ベッド代など保険が使えない費用については、病院の窓口で相談できます。
- 働き方や状況に応じて、利用できる支援制度があります。
家族:伝え方に正解はありません
家族に病気を伝えることは、支え合うための大切な一歩です。子どもには年齢や状況に合わせた説明を、高齢の親には体調を考えながら段階的に伝えるなど、相手に合わせた伝え方があります。どう伝えればよいか迷うときも、相談することができます。家族自身の不安や負担についても、がん相談支援センターは相談を受け付けています。
ひとりで抱え込まないために
- がん相談支援センター:全国のがん診療連携拠点病院などにあり、患者さんや家族が無料で相談できます。仕事、お金、家族、心のことまで、幅広く相談できます。
- ピアサポート:同じような経験をした人と話すことで、気持ちが楽になることもあります。
- ひとり暮らしの方:困ったときの相談先として、がん相談支援センターを覚えておいてください。
出典(情報確認日:2026年9月30日)
- 国立がん研究センター「がん情報サービス」がんと心
- 国立がん研究センター「がん情報サービス」あなたらしい生活を続けるために
- 国立がん研究センター「がん情報サービス」「がん相談支援センター」で相談できることの例
本記事は一般的な情報提供を目的としたもので、個別の診断・治療を代替するものではありません。症状や治療については、必ず担当医・医療スタッフにご相談ください。症状が急に悪化したときは、次の予約日を待たずに治療を受けている医療機関へ連絡してください。